タクシードライバーの営業ノウハウですが、基本的には3つに分けられます。流し、付け待ち、それに配車です。もちろんそれぞれに細かい営業ノウハウが存在していますが、基本はタクシーとはこの3つのどれかによってお客さんを乗せることで売り上げを得ています。流しというのは街中を空車のまま走らせ、道路脇で手を上げる人を乗せるものです。ある程度規模の大きな都市であればこの方法がタクシーの営業ノウハウの主体を占めています。付け待ちとは街中を空車のまま走らせるのではなく例えば鉄道の駅、空港、ホテルなどで客待ちをし、そこから乗りたい人を乗せるものです。このような場所は常に一定の割合でタクシーを利用して移動したいと考えている人がいますから、利用人数そのものでみれば流しで乗る人よりも多いかもしれません。
ですが、それは他のタクシードライバーも考えることは同じで、多くのタクシーが並んで待つことになりがちですから時間を無駄にすることにもなります。順番が来れば間違いなくお客さんを乗せることができるという意味での確実性は高いですが、単価が高くなるとは限らないでしょう。数十分、場合によっては1時間以上も待ってやっとお客さんを乗せた挙句、ワンメーターの距離だったということも現実にあり得るからです。地方など、流しがあまり一般的でない場所では付け待ちがメインとなることもありますが、都心部では流しと付け待ちとをうまく使い分ける営業ノウハウを持っているタクシードライバーが多いでしょう。
3つ目は配車ですが、これは営業ノウハウとはちょっと異なる意味合いもあります。流しと付け待ちは、状況が異なるにせよ、自分自身の経験とか判断、コツによって売り上げを伸ばせる可能性が十分にあります。一方で配車は会社から無線で呼ばれるものですから、基本的には自分自身の経験などは関係ありません。あくまで会社としてどれだけ配車の要請を受けられるかということに大きく左右されるからです。地方で、流しはもちろんのこと付け待ちであっても十分な需要が見込めないというくらいの場所であれば、タクシーとはタクシー会社に電話して車両を自分指定の場所にまで回してもらう配車が利用の主体となることはあります。ですが、そのようなケースを別にすれば、ドライバーにとっての営業ノウハウはあくまで流しと付け待ちが主体であって、配車はプラスアルファ的な位置づけとして考えておくのが良いでしょう。